ファンクション・ジェネレータとはどのような機器なのか?
ファンクション・ジェネレータは、様々な波形の電気信号を生成する電子計測機器です。ファンクション・ジェネレータが生成する波形には、サイン波、方形波、三角波、のこぎり波などがあり、繰り返し生成することも、単発で生成することもできます。また、出力波形にDCオフセットを加えることもできます。
ファンクション・ジェネレータは、電子機器のテストで重要な役割を担います。主な使用先は、趣味の電子工作、教育、研究開発、検査、修理などになり、主にアナログ回路のテストのために使用します。例えば、増幅器の入力信号源として使用したり、制御ループの安定性を評価する際に注入する誤差信号の信号源に使用したりします。
ファンクション・ジェネレータは、過去には純粋なアナログ回路だけで構成されていましたが、現在はデジタル回路とアナログ回路の組み合わせで構成されています。ベースとなる信号波形(デジタル・データ)の生成はデジタル回路で行い、デジタル・データをDA変換器でアナログ信号に変換して出力しています。そのため、様々な波形を容易に生成することができるようになりました。
ファンクション・ジェネレータとRFシグナル・ジェネレータの違いは何か?
ファンクション・ジェネレータは、前述のようにデジタル回路で信号波形を生成するので、様々な波形を出力することができます。また、ユーザーが作成した任意波形を出力することができるタイプもあります。
RFシグナル・ジェネレータはファンクション・ジェネレータと異なり、元になる信号はアナログのサイン波です。PLL回路で構成される周波数シンセサイザにより、ファンクション・ジェネレータよりも高い周波数で、高い周波数安定度の、低歪みのサイン波を出力することができます。また、このサイン波を別のベースバンド信号で変調した波形を出力することもできます。RFシグナル・ジェネレータは高周波回路や高周波機器の研究開発や検査などに使用します。
注)RFとはRadio Frequency(無線周波数)を意味します。
ファンクション・ジェネレータは、安定した周波数で歪みが少ない信号を必要とするアプリケーションには適していません。それらの特性が必要な場合には、RFシグナル・ジェネレータなど、他のタイプの信号発生器のほうが適しています。
ファンクション・ジェネレータをAC電源として使用できるか?
電源装置と異なり、ファンクション・ジェネレータは電力の供給能力がとても低く、出力インピーダンスは50Ωもあります。電源としての用途に使用することは適していません。
ファンクション・ジェネレータを使ってみよう
ファンクション・ジェネレータは一般的には下記のような仕様です。
•チャンネル数:1または2チャンネル
•出力波形:サイン波、方形波、三角波、のこぎり波、パルス波、任意波形など
•出力周波数:最高でも350MHz程度まで
•出力振幅:おおむね最大10Vpp程度
•出力インピーダンス:50Ω
•変調機能:AM、FM、PMなど
もちろんファンクション・ジェネレータのモデルによって仕様は異なりますが、何ができるかの目安になると思います。
ファンクション・ジェネレータを使用する際の手順の例は下記になります。
1. ファンクション・ジェネレータの電源をオンにします。
2. 出力信号波形(サイン波や方形波など)を選択します。
3. 周波数や振幅などの信号パラメーターを設定します。
4. 出力信号を、テストする回路の入力に接続します。
5. 信号出力をオンにします。
6. 回路の入出力の信号を観測したい場合は、オシロスコープを接続して波形観測をします。
ファンクション・ジェネレータの出力インピーダンスは50Ωであり、入力インピーダンスが50Ωの機器に、特性インピーダンス50Ωのケーブルで接続したときに、最も効率よく低歪みで信号を伝送できます。しかしながら、低い周波数であれば入力インピーダンスが50Ωよりも高くても問題なく使用することができます。
もしも出力振幅電圧の値が設定した値と異なるときは、インピーダンスの設定、テスト回路の入力インピーダンスなどを確認してください。例えば、ファンクション・ジェネレータのインピーダンス設定が50Ωのときに、入力インピーダンス1MΩのオシロスコープに接続した場合は、設定した振幅電圧値の2倍の値が観測されることになります。
最後に
ファンクション・ジェネレータについての概略を説明しました。ファンクション・ジェネレータは広い範囲の用途で活用できる電気機器用の電子計測器です。リゴルは様々な周波数レンジのファンクション・ジェネレータをラインナップしているので、どのような用途にも適したモデルを選択することができます。
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